Bitter Sweet
近くのカフェで朝食をご馳走になり、コーヒーを飲みひと息つく。


峰さんが喫煙コーナーに行ってる間、昂くんとまた2人になった。
ロビーで落ち合ってから、峰さんを通してしか会話していない。


昂くんの眼鏡の奥の目が、少し赤いように見えて、気になってしまう。

欠伸も連発してるとこを見ると、寝不足なのかもしれない。


「…寝不足ですか?目、赤いみたいですけど。」

沈黙に耐え兼ねて、聞いてみた。

すると昂くんは私をチラッと見て、コーヒーを口に含む。

「…そっちこそ、目、赤いよ。」
ジッと心まで見透かすような視線。

泣いた?、そう聞きたそうな顔をしている。

目の赤さまでは、化粧じゃ隠せない。

「はは、…酒焼けかな?飲みすぎちゃいましたね、昨日は。」

苦しい言い訳をしてみる。

泣いちゃったから、なんて言ってもしょうがない。


「…俺も。」

困ったように眉を下げて苦笑いを浮かべている。


ホントに飲みすぎて、記憶も飛んじゃえば良かったのに、なんて思っていると、峰さんが戻ってきた。


「おーし、お待たせ!じゃあ、そろそろ行くか。」

「「はい。」」

2人同時に返事をして立ち上がったので、峰さんが驚いて、

「何だよお前ら、息ピッタリだなぁ。…あ、さては、昨夜俺が寝てる間に2人で盛り上がってたんだろ!?このヤロー!」

そう言いながら、昂くんにヘッドロックをかましていた。

昂くんはイテテ、と峰さんの腕を外しながら、

「妙な勘繰りしないで下さいよ?峰さん、すぐそういう話に繋げたがるんだから…。」

私に背を向けて、峰さんと先に連れ立って歩き出す。


私が余計な詮索を受けないようにしてくれたんだな。



すぐ分かった。


昂くんの後ろ姿を見ながら、


これから先、どんな気持ちで接したらいいのか…


心の迷路に入り込んでしまったような感覚に襲われた。











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