Bitter Sweet
「…ありがと…。」

撫でられるのが心地良くて、高梨の胸にトン、と頭を預けながら、
そう言うのが精一杯だった。

高梨は優しく、私の肩を引き寄せて髪を撫で続ける。

時間が止まったように感じるほど、しばらくそうされていた。


すると、


「ねぇ、ひかりさん。今日はいっぱい飲もう?」

撫でる手を降ろし、
おもむろに口を開いた。


「明日は土曜だし、ゆっくりしてけばいいよ。また泊まってもいいし?」

ニヤリと口角が上がり、私をからかうような物言いだった。

先日の醜態を即座に思い出す。


「…飲むのは賛成だけど、泊まる事態になる前にタクシー呼んででも帰るよー、だ。」

べー、と舌を出して反論。

「ふーん?お手並み拝見しましょうか。」

ニヤニヤ薄ら笑いを浮かべながら、私のグラスに波並みとワインを注ぐ。


「ちょっ、コレ注ぎ過ぎでしょ!?」

「え~?ひかりさん、だって飲兵衛じゃん。ヨユーでしょ?」

これくらいも飲めないの?と言わんばかりに、いやに挑戦的だ。
何を考えてるんだろ、コイツは…。

「この後も、オレが注いだ分はちゃんと飲み切らないと帰さないからね。」

クスクス笑いながら、2人のワイングラスをカチン、と合わせ乾杯する。




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