Bitter Sweet
「な、なんでそんな手に乗らなきゃなんないのよ!」

抗議の声を上げながらワインに口をつける。


「やだなー、今日はオレが癒してあげるって言ったの忘れた?」

…そういえば。
部屋に上がったあと、言ってた。
でもそれって、夕ご飯ご馳走してくれるって事じゃなかった??


それに、さっき。
頭を撫でられてた時間。
確かに、心地よかった。


「…充分、癒してもらったと思うよ?」

おずおずと答える。

「まだまだ。夜はこれからだし。」

ニンマリと微笑む高梨。

この、いかにも何か企んでますって顔。

これまでにも見た、有無を言わせぬ表情。


なぜか、私はこの顔に逆らえない。


無言で高梨をジロッと睨みつけることくらいしか出来ず。


何だか飲み比べにでもなってしまいそうな、そんな予感がした。

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