Bitter Sweet
「桃瀬、ちょっといい?」
仕事中、パソコンの画面を見ながらボーッとしていた私に、向かいの席から声がかかり、パッと顔を上げる。
「あ、ハイ!」
ガタッと席を立ち、昂くんの側に歩いて行く。
「こないだの案件なんだけど、コレ、ちょっと見てくんない?」
「はい…。」
渡された資料に目を通す。
それは先日の出張の時に作ったもので、もう処理は終わったものだった。
今頃どこかにミスでもあったかな、とパラパラとページをめくるが、特に何も見つからない。
不思議に思って昂くんの顔をチラッと見ると、
「コレ。」
と指をさした真ん中らへんのページに、一枚の名刺のようなカード。
それには、駅前にあるバーの名前が刻まれていた。
資料で隠しながらカードを取り裏面を見ると、
"今晩7時半。ここで待ってる。"
………。
驚いて思わず昂くんの顔を見た。
彼は涼しい顔をして、
「コレ大丈夫?」
と確認してくる。
「……大丈夫、だと思います。」
やっとの思いでそう答えたけれど、何が大丈夫なんだか。
「そう?でも、一応、もう一回見といてくれると助かる。」
そう言って、資料を私に渡して昂くんは自分の机に向き直った。
私はますます頭の中がゴチャゴチャしてきて、ゆったりとした足取りで自席に戻った。
高梨は今、席を外していて隣にはいない。
ふぅ、と小さく息を吐いて、
とりあえず目の前の仕事を片付けることに専念した。
ー何考えてんだろう、昂くん。
こないだの高梨といい。
この社内恋愛みたいなやりとり、
結構心臓に悪い。
仕事中、パソコンの画面を見ながらボーッとしていた私に、向かいの席から声がかかり、パッと顔を上げる。
「あ、ハイ!」
ガタッと席を立ち、昂くんの側に歩いて行く。
「こないだの案件なんだけど、コレ、ちょっと見てくんない?」
「はい…。」
渡された資料に目を通す。
それは先日の出張の時に作ったもので、もう処理は終わったものだった。
今頃どこかにミスでもあったかな、とパラパラとページをめくるが、特に何も見つからない。
不思議に思って昂くんの顔をチラッと見ると、
「コレ。」
と指をさした真ん中らへんのページに、一枚の名刺のようなカード。
それには、駅前にあるバーの名前が刻まれていた。
資料で隠しながらカードを取り裏面を見ると、
"今晩7時半。ここで待ってる。"
………。
驚いて思わず昂くんの顔を見た。
彼は涼しい顔をして、
「コレ大丈夫?」
と確認してくる。
「……大丈夫、だと思います。」
やっとの思いでそう答えたけれど、何が大丈夫なんだか。
「そう?でも、一応、もう一回見といてくれると助かる。」
そう言って、資料を私に渡して昂くんは自分の机に向き直った。
私はますます頭の中がゴチャゴチャしてきて、ゆったりとした足取りで自席に戻った。
高梨は今、席を外していて隣にはいない。
ふぅ、と小さく息を吐いて、
とりあえず目の前の仕事を片付けることに専念した。
ー何考えてんだろう、昂くん。
こないだの高梨といい。
この社内恋愛みたいなやりとり、
結構心臓に悪い。