Bitter Sweet
高梨の腕から降ろされた場所は、

ベッド…ではなく。

ソファが置いてある絨毯の、上。


私に馬乗りになって、両手を押さえつけ、乱暴にシャツを剥がそうとしてボタンが弾け飛ぶ。


「…蓮…、やめて…?」

少しでも、高梨の心に響けばと。
祈りをこめて、 震える声で名前を呼ぶ。


高梨の瞳が揺れている。

「やだよ、蓮…。こんなのは…。」

いつも強引だけど、優しさに溢れてる高梨とは違う。

こんな乱暴に扱われるのは初めてだった。


「…ズルいね、ひかりさんは。」

呟かれた言葉が胸に突き刺さる。

月明かりが部屋を照らし、高梨の顔をハッキリと確認すると。

傷ついたような顔をした高梨が、私を真っ直ぐ見下ろしていた。



「ーイヤ、ズルいのはオレ、か。」

フッと笑いながら、再び私に口づける。
今度は、さっきより幾分優しいキスだった。


そして、胸元に顔を埋めて、吸いつくようなキスを落としたかと思うと、

ふいに身体が軽くなる。

ー高梨の身体が私から離れたからだ。


「ーゴメン。」

それだけ言って高梨は、スタスタと玄関へ向かい、ガチャリとドアを開けて部屋を出て行ってしまった。





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