Bitter Sweet
しばらく呆然と、天井を眺めていた。

何が起きたのか分からなくなってきて、ノロノロと身体を起こすと、瞳から冷たいモノが流れ落ちた。

ーあ。

私…泣いてたんだ…。


乱れた胸元を直して、そっと唇に手を当てる。


今頃になって、カタカタ身体が震えてきた。


あんな高梨、初めて見たーー。


私の中の高梨は、

いつも軽口叩いて、笑ってて。

余裕をかましてる。

そのくせ、私を甘やかしてくれて、

生意気だけど、かわいい…男。


けど、さっきの高梨は。

私の知らない…歴としたオトコ、だった。


私が見ようとしてなかったんだ、本当の高梨を。

身体を重ねてはいても、

どこか…刹那的なものだと、割り切ってた。


私よりも、高梨の方がよっぽど。

ー純粋だよ。



涙が溢れる。



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