生徒会長さんの救世主

希龍side 弥琴と凌空の出会い



弥琴が出ていった屋上は沈黙が流れている。


沈黙を破ったのは副総長の立間 櫂―tatuma kai― だった。



「凌空、どういう事か説明してくれないか?」


櫂からは黒のオーラが出ている



「あぁ。」

凌空は静かに話し始めた


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


俺があいつに会ったのは中1の時だ。

丁度その時は雨が降りそうで、喧嘩帰りの俺は裏道で帰ってたんだ

そしたら誰かを殴るような音と女の嫌がる声が聞こえて行ってみたら.....あいつが男たちに襲われてた


それが俺とあいつの出会いだ


すかさず俺はあいつをやってた奴らをボコボコにした



終わってあいつを見たら傷だらけで震えてた


大丈夫かって声掛けようとしたら

急に走りだして近くのビルの階段を上っていった


何かやばい気がして後を追いかけた。
そんで屋上に着いたら



あいつ..フェンスを乗り越えようとしてたんだ。


すぐさま駆け寄って引きずり下ろした



丁度雨も降ってきてよ、ボロボロになったあいつは言ったんだ。


『もう生きていても意味ない。
お願いですから放っといてください、死なせてください。』 って言ったんだ。



「何があったのか知らないが、死んでも何も変わらない。お前が生きることを諦めた事実しか残らない。」



『じゃあどうしろっていうのよ.....』



こういう時、なんて言えばいいのか分からなかった。

そんな俺は女のあいつに言ったんだ。


「強くなれよ。今よりも...もっと強くなれ。
俺が手助けしてやる」



その時にあいつが俺を見た時の顔を今でも忘れない


すごく儚くて今にも消えそうで...


でも目の奥にはやってやるっていう強い気持ちも表れてる気がした



連絡先交換しようって言ったら

『まずは自分でやってみる。
またあなたとは会えそうな気がする』



それからあいつと会うことはなかった。




そのまま俺は高校の入学式を迎え、

新入生代表の奴の顔を見た時驚いた



まさかのあいつだったからな。



昔のあいつの面影は全然なくてもう大丈夫なのかとも思った。


何回すれ違っても反応ないし、あいつは俺のこと忘れてるって気づいたんだ


でもやっぱりあいつの事忘れられなかったんだ。


あの時の顔を...
今でもたまに見せるあの闇を抱える瞳を。



もう高校もあと一年しかないから残された時間も少ない。


それに強くしてやるって言ったのが嘘になるのも嫌だった




だから、今日あいつに声を掛けたんだ。



希龍には女嫌いの奴もいっぱいいるし、多々迷惑をかけると思う。


でも...協力してくれねぇか...?


あいつを...強くしてやってくれ。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



少しの沈黙が流れたあと立間が口を開いた。


「そんなことがあったのか...俺は協力するぜ」

「ビシバシやっていいんだよな!じゃあ俺も」
 
「女は嫌いだけど、凌空が言うなら協力する」

「俺もー」




「お前ら...ありがとな」




凌空は絶対に弥琴を強くすると改めて決心した





「そういえばさ..生徒会長トイレ長くね?」




「…逃げたんじゃね?」



屋上から下を見てみると・・


校門から弥琴が逃げ出すところだった。




・・・。




「追うぞ!逃げれると思ったら大間違いだ。」




凌空はニヤリと笑った



希龍Side END
< 6 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop