らいおん


昨日の試合、俺は投げられないということをわかっていた。

けれど美咲は俺を信じてくれていて。




俺がベンチにいないことに気づいたときの美咲の顔は、一生忘れない。

涙を必死に堪えていたあの顔を。



本当は試合が終わるまで美咲には会いに行かないつもりだった。

でも、我慢できなかった。



後ろから抱きしめた美咲の肩は震えていた。

絶対泣いていると思ったのに。

美咲は笑顔を向けたんだ。


「お疲れさま。雄介、頑張ったね」

って。





誰かにそう言って欲しかったんだと思う。

頑張ったねって。


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