らいおん
そしてすぐに私は目も疑うことになる。
「茜、ちょっと聞いてた?」
名前を呼ばれてはっとする。
「顔色悪くない?具合悪い?」
美咲に顔を覗き込まれる。
「大丈夫。なに?」
「孝太郎くん、茜のために――――――」
その言葉も途中から聞こえなかった。
孝太郎の肩越しに、アイツの姿を見つけた。
3年前と変わらないアイツの笑顔を見て、胸が締めつけられた。
「ごめん、ちょっとお手洗い行ってくる」
いきなりで、3人は変に思ったかもしれない。
でも、これ以上あそこにいるのは苦しかった。