らいおん
会わせたい人……?
まったく予想がつかない。
けれど時計がすでに10:30を過ぎていたことに気付き、私はあわてて家を出た。
駅前のカフェに私が着いたとき、約束の時間は過ぎていた。
窓際の席には、すでに美咲の姿があった。
「美咲、遅れてごめん」
手をあわせて謝る。
「大丈夫だよー。まだ来てないし」
そういえば、美咲の他に誰もいなかった。
「どーせ、時間通りには来ないから」
美咲は困り顔でそう言ったけど、なんだか嬉しそうだった。
それからしばらく、2人でいつものように他愛もない話をしていた。
「孝太郎くんと、別れたんだって?」
「どーしてそれ…?」
「佳乃に聞いたの。
孝太郎くん、泣いてたって」
言ったあと、美咲ははっとする。
「ごめん…」
私は首を横に振った。
孝太郎のことを思うと、本当に申し訳ない気持ちになる。