プラトニック・プラネット
朝日が異様に眩しい季節だと目を細めながら歩いていると、
リズム感があるんだかないんだか、よく分からない足音が聞こえてきた。
「おはよう和泉さん」
少しくぐもった声を疑問に思いながら振り返ると、あらまあ不思議。
なぜここにサボテンが。
「どうしたの風間君。
ここは砂漠地帯じゃないよ。
早く森に帰してきなさい」
「こいつ可愛いでしょ。
サボっていうの」
どうして名前までつけてるの。
「可愛いって大きさじゃないよ」
「そうかな」
だって風間君の顔が見えないよ。
「まさか拾ったとか言わないよね」
「違うよ、もらったんだよ」
「誰に?魔女に?」
「近所の田中さんに」
...田中さん。
登校途中の青年に、なぜサボテンを渡すんですか。
そしてあなたはなぜ断らない。
「とりあえずサボさん。森にお帰り」
「和泉さん、返すならサバンナだから」
「…それまさか持ってくの、教室に」
「うん」
「……離れて歩いていい?」
「え、なんで。やだよ」