プラトニック・プラネット

朝日が異様に眩しい季節だと目を細めながら歩いていると、
リズム感があるんだかないんだか、よく分からない足音が聞こえてきた。



「おはよう和泉さん」



少しくぐもった声を疑問に思いながら振り返ると、あらまあ不思議。

 


なぜここにサボテンが。




「どうしたの風間君。
ここは砂漠地帯じゃないよ。
早く森に帰してきなさい」


「こいつ可愛いでしょ。
サボっていうの」



どうして名前までつけてるの。



「可愛いって大きさじゃないよ」


「そうかな」



だって風間君の顔が見えないよ。



「まさか拾ったとか言わないよね」


「違うよ、もらったんだよ」


「誰に?魔女に?」


「近所の田中さんに」



...田中さん。

登校途中の青年に、なぜサボテンを渡すんですか。



そしてあなたはなぜ断らない。



「とりあえずサボさん。森にお帰り」


「和泉さん、返すならサバンナだから」


「…それまさか持ってくの、教室に」


「うん」


「……離れて歩いていい?」


「え、なんで。やだよ」



< 13 / 37 >

この作品をシェア

pagetop