プラトニック・プラネット
風間君はよく、私のことを天然で変わってると言うけれど。
私からすれば、あなたの方が何倍も天然で変わってる。
...という事実に気づいて欲しいと、切に思う。
「あ、和泉おはよ…ってええ!?なにそれ!?」
風間君と付き合い始めてから、なぜだかよく話しかけられるようになったんだよね。
って、今はそれどころじゃないのかな。
「おはよ賢人」
「え!?風間!?
おま、いつからサボテンになったんだよ!」
…ん?なんか違うよね?
「近所の田中さんにもらってさー。
ここで飼おうぜ」
「田中さんって誰!?
つーかサボテンって飼うものなの!?」
「サボさんだ。よろしくな」
「スルーかよ!」
抱えていたサボさんを、教室の後ろのロッカーの上に慎重に置くと、風間君は何事もなかったかのように席に座る。
ざわつく教室に入ってきた担任教師は、言わずもがなサボさんを二度見、いや四度見くらいした。
「なんか、サボテンらしきものが見えるんだが…誰の体操着だ?」
「先生、体操着じゃないです。
サボさんです」
「は?サボ……って、どういうことだ」
「サボテンです」
「そうじゃねぇ。
なんで教室にサボテンがあるんだよ。
とっとと森に帰してこい」
「なっ...帰すならサバンナでしょうっ!?」
「そこでキレんな!」
しばらく担任と言い合いしていた風間くんは、突然はっとした顔で固まった。
「そうだ、忘れてた」
「やっとわかったか。
ここは学校、ペットだかなんだかは
持ってきちゃいけねえの」
「先生、サボテンって
いつ水やればいいんですか」
「もう帰れよ」