プラトニック・プラネット
放課後、体育館裏。
我ながら、なんてベタなシチュエーション。
そんなことを考えながら、二歩離れて立つ和泉さんに視線を落とす。
彼女はリュックの肩紐を両手で握りしめ、難しい顔でうつむいていた。
眉間のシワが異常なまでに深くて、俺は忘れかけていた緊張を一気に取り戻してしまう。
思い切って、カラカラに渇いた口を開く。
「和泉、さん?」
「うわああっ」
「あっ、ごめ」
さながら珍獣を見つけた遭難者のように、勢い良く後ずさりされ、流石にショックを受けた。
...こんな反応されたら、自信、なくなる......。
一通り落ち込んでから、ある考えに行き着いてハッとする。
何回か話してはいるけど、まさか...。
「えっと...とりあえず、
俺のことは...知ってますか?」
「そりゃ、はい、もちろん」
コクコクと何度も頷く和泉さんに、俺は心から安心して、思わず頬が緩んだ。
これで知らない、なんて言われたら、どうしようかと思った。