新宿トライアングル
慌てつつも、俺の胸から目を離さない譲二に笑顔を向けると
「冥土の……土産?」
そんな言葉に、別れを察したのか俺の前には店で一番高いボトルが置かれた。
「おいおい、開けれねーって!!」
「ううん、これはアタシから。ずっと好きだったのよ?」
良き理解者であり、そして最高だった居場所。
「譲二は幸せだろ?こんなに愛してくれる客がいる」
俺がそう言うとそのまま崩れ落ちた。
「一番好きな奴と開けな?」
最初で最後のキスをほっぺにしてやると、世話になった店に頭を下げる。
歪んだ俺を、愛してくれてありがとう……と。