新宿トライアングル
「いいか?こうやって……」
忙しい合間をぬって、専属のホスト講師をかって出てくれた優亜が俺の隣にいる。
「まずは俺がホスト、お前が客役な」
と、隣に密着しての説明に息をする事さえ忘れそうで。
練習でも、スーツの上着を脱いで、ネクタイを緩めた姿でも、秘めたオーラは隠しようが無く溢れ出る。
その、一挙手一投足、全てがカッコ良過ぎた。
飲みもんの作り方、タバコへと火をつける様。
穴が開くんじゃないかってぐらい見つめる俺に、優しい笑顔をくれる。
「俺さ、いずれ自分の店持ちたいんだ。そん時に冬弥みたいな奴に支えてもらえたら嬉しいし」
憧れていた人から頼られている自分。
普段はクールぶっていても、所詮は高校あがりの18歳。
高鳴りを必死に抑え、学ぶ事に徹する。
その少年みたいな笑顔は反則だと思いながら。