新宿トライアングル



分厚い封筒を抱えた私はその半分を寮に置いて、残りの紙束を強く握り締めた。



なんせ、今でも有名雑誌に載っている冬弥。



その人に逢うの一体にいくら必要なのか、なんて……全く検討がつかない。



スカウトのお兄さんがチェリダイならホストクラブ行くくらい大丈夫って言ってた言葉を信じるしかない。



見習いだからまだ時給は6000円。



6時間働いて36000円。



それが25日だから……寮費や雑費を引かれても、そこに残ったのは見たこともない大金。



鳴り響く胸の痛みに耐えながら、涙で崩れてしまったメイクをばっちり直して私は歩いていく。



寮から歩いて5分ぐらい。



そびえる憧れのビル。その2階がフロア全部を潰して出来上がった歌舞伎町の最上級店。




【ホストクラブ昇華】



< 43 / 216 >

この作品をシェア

pagetop