俺と君の運命論
「涙目になってますよ。可愛いですね」
「っ、ハルキのが、可愛いよ…っ」
「今のあなたに言われても、ですね。ご自身の顔を御覧になってはどうですか、ほら、あそこの鏡」
「ッツ!」
倉庫内にある縦長の大きな鏡。ほこりをかぶって少し雲っているけど、それでも鏡としての役割はきちんと果たしている。
顔の赤くなった俺。いやらしい。こんな顔をハルキに見せているなんて。
恥ずかしさのあまり顔を背けようにも、「ほら可愛いでしょ」なんてハルキが耳元で言うものだから、逃げ場がない。
それでも、男としての意地は見せたかった。
「ハルキだってっ、はあっ、頬が紅いよっ…、ハルキが一番、可愛いっ」
「気のせいです」
「………。」
あっさり切り捨てられたけど。