魅惑のキスネコ!【完】
少し落ち着いてから
あたしはロフトから降りる。
探そうと思ってた猫の本はもういらないし。
ポパイが使ってた毛布やシーツ、
そして写真だけは綺麗に整える。
それにしても。
いつもどこに隠れてるのかと思ってたけど
今日これで判明した。
いつもこの部屋、このロフトに隠れてたんだ・・。
リビングに戻ると猫の姿のポパイが餌をねだってくる。
そっか、さっきキスしちゃったから
まだ午前中なのにポパイはもう猫に戻っちゃったんだな。
今日は一人。
正しくは一人と一匹。
ポパイの頭を撫でながら少し寂しくなった。
一緒におしゃべりする相手が居ない。
結婚して、ポパイが変身するようになるまでの半年の間は
いつもこうだったのに。
いつの間にかポパイが一緒に居て話し相手になってくれたり
面倒かけてくるのが当たり前になっていた。
翻弄されてトラブルに巻き込まれそうになって。
毎日が慌しいけど。
子供が出来ない悲しみを感じる暇さえなかったな。
ポパイが人間になった事はなにか意味があるのかもしれない。
あたしはふとそう思った。