魅惑のキスネコ!【完】
イトコの憂鬱
初夏。
緑の匂いが強くなって
だんだん暑い日が増えてくる。
今日もすごくいい天気だ。
あたし達はジンの練習試合を見るために
河川敷に来ている。
車で20分くらいの
この河川敷にあるラグビー場は
日曜の午前中にもかかわらず
会社の人やその家族
子供たちで大いに賑わっている
「これでよしっと。
じゃ、行ってくるねカナ」
ジンがあたしにスポーツバッグを渡してそう告げる。
「うん、頑張ってね!
怪我しないでね?」
「大丈夫、ありがとう!」
ラグビーのユニフォームを着たジンは
背番号14を背負って
グラウンドへ走っていった。
「14番の人、旦那様?」
思いがけず隣にいた奥さんに話しかけられる。
「あ、はい。そうです」
初めて見る顔にあたしは戸惑いながらも答えた。