魅惑のキスネコ!【完】
3Dのアトラクションの列に並ぶあたし達。
「楽しみだねー」
隣に居るポパイに話しかける。
「ん?そう?」
ポパイはそっけない。
というか、全然楽しみじゃなさそう。
視線を園内に向けて
あたしの事さえ見ずに返事をしていた。
そりゃまぁ、
確かに半強制的に来た訳だし。
しかもあたしから
サヤカちゃんがポパイの事好きなんだよって
聞いてたのにそんな仕草もなく。
そりゃちょっと
テンションもあがらないよね・・。
アリサと居るときはなんだかんだ
楽しそうなんだけど。
「シュンはジェットコースター好き?」
前に並ぶジンが
ポパイにそんな質問をした。
ポパイが返事をする前に
サヤカちゃんがすばやく反応する。
「え?」
「あぁ、コイツ、本名はシュンなんだって。
ポパイは嘘の名前だったんだよ。
・・まぁ当然だけどな」
ジンが軽く笑いながら
サヤカちゃんに説明。
サヤカちゃんも「そうなんだ」と言いながら
つられて笑った。
「シュンくんって、
いい名前だね!」
そういわれたポパイは
何も言わずにサヤカちゃんをただ見つめ返した。
慌ててあたしが付け足す。
「うん、本当、いい名前だよねっ!」
とびきりの笑顔で言ったのに・・。
サヤカちゃんとポパイの間の空気は
全然良くならない。
無言のままのポパイを諦めて
サヤカちゃんはまた前を向いてしまった。
ポパイもまた、
視線を園内に移す。
なかなかうまく
キューピッドには成れない。