魅惑のキスネコ!【完】

「ポパイ。」

「カナ。
もう買った?」

「ううん、
いいのなくて買ってない。」

「そっか。」

「おなかすいた?」

「別に。
カナは?」

「あたしも大丈夫。
ていうか、
ポパイが気になって
それどころじゃない」

「・・・カナ。」

「でもね全然わかんないの。
ポパイが変な理由。
ごめんね、使えない飼い主で。」

「・・・そんなこと。」


「お待たせ。行くか」

ジンがサヤカちゃんと店から出てきた。
ふいにジンに肩を捕まれ
あたしはここで初めて
園内でジンと一緒に歩いた。

陣形が崩れ
後ろからポパイとサヤカちゃんがついてくる。


ジンはわざと少し早足で歩き
後ろと距離を取った。
そしてあたしに囁く。

「ごめんな。
全然相手にしてあげられなくて。
サヤカがひっついてひっついて
離れなくてさ。
なんなんだろうな一体」

苦笑いのジンに
あたしも笑顔で返す。

「いいよそんな。
全然気にしてないし。
サヤカちゃんだって
ジンと一緒に過ごせて楽しいんだよ」

「そうかな。
まぁそうか。
最近全然相手にしてなかったし」

「そうそう。
たまにはいいお兄ちゃんしてあげても
バチはあたらないよ」

「だな」

笑いあっていると
後ろから声がした。


「ねぇ、そろそろ
ジェットコースター!
いいでしょ?」

我慢の限界なのか
サヤカちゃんはおねだり体制で
こっちをみている。

あたし達は顔を見合わせ
笑顔でそれに応じた。

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