魅惑のキスネコ!【完】

消毒の終わった傷口を
ガーゼで塞ぎながら
シュンが口を開く。

「ゴメンな、
俺のせいで怪我させて。」


「え?」

正直、いつ怪我をしたのか
思い出せない。

不思議そうな顔をするあたしに
シュンは申し訳なさそうに言う。

「覚えてない?
ジンに殴られたあと
カナ、俺のこと庇ってくれたじゃん。」


あの時・・。
膝立ちでジンの前に立ちふさがった時だ。

「今思い出した・・。」

あたしが呟くと
シュンははにかみ立ち上がった。

「俺、帰るね」

「え!」

あたしは慌てて振り向く。

「カナ、ジンに電話したいだろ?」

「でもっ・・
まだシュンの答え、聞けてない。
なんでこんな嘘ついてたの?
教えて!」

「ごめん、それはいえない。」

「そんな・・!
なんで・・・」

「でも、大丈夫だから。」

「え?」

「きっと、大丈夫」


シュン・・?

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