魅惑のキスネコ!【完】

「お兄ちゃんが悪いのよ!
私に紹介もしないで
突然結婚だなんて!
こそこそこそこそ彼女作ってさ。」


「はぁ?そんな事言ったら
今度はカナに迷惑かけるじゃないか!」


「当たり前でしょ!!
どの女も気に食わないのよ!!」



「・・・サヤカちゃん」
あたしが口を開くと
二人があたしに目を向けた。


「あたし、
サヤカちゃんがこんな事するなんて
信じられないって思ってたけど
今、その言葉聞いて分かった。
あぁ、やっぱり
サヤカちゃんだったんだなぁって。」


「は?何それ。」


「だって、サヤカちゃんが言ってる事
ポパイだったシュンがあたしに言ってた事と
同じなんだもの。」


この独占欲や嫉妬、
そのまんまポパイのふりしたシュンだ。

シュンはこんなサヤカちゃんを見ていたからこそ
あんな台詞が言えたんだ。


「でもサヤカちゃん、
人は人形や物じゃないの。
思い通りに動くばかりじゃないんだよ。
シュンだってそう、
最終的にサヤカちゃんの思い通りには
ならなかったでしょ?」

シュンが送ってきた書類を見せながら
あたしは語りかける。


「人の心を本当に動かすには
そんな暴力的なやり方じゃダメ。
悪口言ったりお金で釣ったって
虚しくなるのは自分だよ。
今一番、身に沁みてるんじゃない?」


「・・・・じゃぁ。
じゃあどうしたらいいって言うのよ?
あんたにはわかんないでしょ?
他の人に大切なものが捕られる気持ち!」


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