魅惑のキスネコ!【完】
「分かるよ。
だって、サヤカちゃんが
あたしにそうしたじゃない。」
「私が?」
「そうだよ。
サヤカちゃんはシュンを使って
人間のポパイを作り出した。
そしてそれをあたしから奪ったじゃない」
「そんなの。
もともとないものじゃん。
私とは違う。
私のほうが辛い!」
「どちらが辛いなんて聞いてない。
あたしにはサヤカちゃんの辛さなんてわかんないし
サヤカちゃんだってあたしの辛さは分からない。
あたしとサヤカちゃんは根本的に違う。
なんでサヤカちゃんの大切なその人が
幸せになるようにって願えないの?
愛って、そういうものなのに。」
「何が愛よ!
私の元から離れて欲しくない。
結局自己満足でもいい。
それでもいいから傍に置きたい。
何が悪いのよ!」
「悪いよ!!
そんな考え方、絶対間違ってる!
あたしは・・!
ジンに隠してでも
ポパイに世界を見せて
ひとり立ちさせてあげたかった。
ポパイの事を大切に思うから。
あたしがいなくても
幸せになれるようにって。
そう思ってたんだよ」
「そんなのただの・・!!!」
「もういい、サヤカ。
サヤカが間違ってる。」
黙っていたジンが
サヤカちゃんを止めた。
「そんな!!
私は間違ってない!!
人なんてみんな自己中な
生き物じゃない!
こんなの偽善だよ!!」
「サヤカ。」
ジンに窘められ
サヤカちゃんは
ぼろぼろと涙をこぼし始めた。