魅惑のキスネコ!【完】

試験紙に尿をかけ
終了線が出るのを確認してすばやく蓋をした。

念のためティッシュで拭き
判定窓を自分の方へ向けると。


「え!!」

判定窓にはっきりとラインが出ていた。

「嘘ッ・・!」


隣には見間違える事のない、
判定終了ライン。

陽性を示すラインと判定終了ラインが
はっきりと浮かんでいる。


赤ちゃんが出来てる!!


慌てて説明書を見る。
結果が出るまで
数分かかるってかいてあるよね!?

こんなに即効!?


ていうか自然妊娠は難しいって、
言われてたのに!

泣きそうになりながらも
あたしはそのラインから目が離せない。

どうしよう、ジンに言わなきゃ!
待って、今何週!?
前の生理はいつだっけっ!?
いつの排卵だったの!?


慌てるあたしを察してか
「みゃぁ」と鳴く
ポパイの声が聞こえた。

もしかしたら!と
はっとする。


もしかしたらポパイには
わかってたのかな。
あたしに赤ちゃんがいること。

だからあたしの周りをあんなに
うろうろしてたのかもしれない。

ジンがいても出てくるようになったのは
赤ちゃんをジンから守るためとか。


慌ててパンツを上げ
トイレを流し扉を開ける。

「ポパイッ!
・・・あれ?」

扉の前で待っているはずの
ポパイがいない。

廊下を覗くと
ポパイは尻尾をふりふり。

リビングへ立ち去るところだった。

その後姿を見ながら
あたしはふっと笑みをこぼした。


どっちでもいっか。
とにかく、赤ちゃんが出来たんだ。
嬉しい!!


リビングに戻って早速、
ジンに検査薬の写真を送った。

そして産婦人科に電話をする。
検診の予約をしなきゃいけない。

自分の予想だと妊娠6週、
いや7週かもしれない。


慌しくするあたしを
ポパイはただ横目で見ていた。

そんなポパイをそっと撫でる。

「シュン、みてる?
あたし赤ちゃん出来たよ」


そっと呟くとポパイは喉をならした。

あたしは微笑み
まだちっとも大きくはないお腹をさすった。


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