魅惑のキスネコ!【完】
「あっ・・すみません、
大丈夫ですっ」
あたしは慌てて立ち上がり
隣のおばさんと大家さんをほぼ強制的に押し出す。
「いやっ、でもねカナちゃん。
あなた叫んでたじゃない。
イヤーンとかキャアアンとかさあぁ。」
「いや、あの、それは解決したんで。
すみませんなんか心配掛けて。」
「でも誰かと揉めてたじゃないの。」
「ホントその、大丈夫なんで」
「でもぉっ!」
ガチャンッ!!
あたしは後ろ手に玄関の扉を閉める。
外で大家さんとおばちゃんが少し揉めていたけど
遠ざかっていくように聞こえた。
「はあぁっ・・もう・・」
あたしは大きなため息をつき
玄関の絨毯にちょこんとすわるポパイを睨んで言う。
「なにいきなりネコに戻ってんのよ」
「・・・」
「ちょっと!」
ポパイはしらんぷりして毛づくろいを始めた。
あたしはすれ違いざまにポパイにでこピンしてリビングに戻ると
ポパイはすぐ後ろからあたしを追いかけ恨めしげに「みゃ”-」と鳴いた。