魅惑のキスネコ!【完】
外に出ると少し肌寒い。
一瞬ブルッとしたのを見逃さずに
ジンは自分の羽織っていた上着をあたしに掛ける。
「あ、ありがとう」
ジンは何も言わずに
そのままあたしの肩を抱いて歩き始めた。
付き合い始めたときからいつもそう。
ジンは本当に優しいんだ。
「月が綺麗ですね」
ふと、ジンが夜空を見つめてつぶやく。
あたしも反射的に空を見上げた。
綺麗な三日月。
「うん、そうだね」
「違うよw」
「え?」
あたしはジンの顔を見る。
「知らないの?w」
意味深に言うジンに
あたしはハッとする
「夏目漱石?」
「そ、知ってるじゃんw」
「ジン、クサイよw」
「酔ってるからな」
赤い顔でジンは照れくさそうに言う。
あたしもクスクスと笑った。
幸せ。
ジンとならきっとお爺ちゃんお婆ちゃんになっても
こうやって仲良くやっていけそうな気がするよ。