魅惑のキスネコ!【完】



外に出ると少し肌寒い。
一瞬ブルッとしたのを見逃さずに
ジンは自分の羽織っていた上着をあたしに掛ける。

「あ、ありがとう」

ジンは何も言わずに
そのままあたしの肩を抱いて歩き始めた。


付き合い始めたときからいつもそう。
ジンは本当に優しいんだ。


「月が綺麗ですね」

ふと、ジンが夜空を見つめてつぶやく。
あたしも反射的に空を見上げた。

綺麗な三日月。

「うん、そうだね」


「違うよw」


「え?」
あたしはジンの顔を見る。


「知らないの?w」
意味深に言うジンに
あたしはハッとする


「夏目漱石?」


「そ、知ってるじゃんw」


「ジン、クサイよw」


「酔ってるからな」
赤い顔でジンは照れくさそうに言う。

あたしもクスクスと笑った。


幸せ。
ジンとならきっとお爺ちゃんお婆ちゃんになっても
こうやって仲良くやっていけそうな気がするよ。

< 75 / 255 >

この作品をシェア

pagetop