魅惑のキスネコ!【完】


「ねーカナ、今日はどこ行く?
昨日出掛けられなかったから
かなり退屈なんだけど!」


朝食の後、キッチンで洗い物をするあたしに
ポパイが聞いてくる。


「どこにも行かないよ。
今日は一日おうちだよ」

あたしがそう言うと
ポパイは愕然として文句を言い出した。

「えー!なんでだよ!
自分は昨日遅くまでジンと出歩いてたくせに!」


「あたしとジンはいーの。
人間だから。
ペットのネコに散歩は必要ないでしょっ。」

さっきの仕返しに意地悪く言う。


「でも俺今人間だし。
人間みたく外にも出たい」


「・・・・ポパイ、さっきと矛盾してるよ?」


「なーカナ、出掛けようぜ。
なーなーなーなー」

聞いちゃいない。


「それに、また隣のおばちゃんに
一緒にいるの見られたら困るもん
一緒には出掛けられないよ。」


「なんで?
あの人には俺がちゃんと言ったっていったじゃん。」


「ちゃんと言ってないよ!
絶対誤解されてそうだし。」


「誤解ってなんだよ」


「それは・・。」
浮気とか、若い男の子連れ込んでるとかだよ、

って、言おうと思ったけど口を噤む。



「とにかく!
一緒にお散歩は犬だけ!
ポパイとは散歩しないのっ」


あたしはそう言い放ち
ぷいっと顔を背けた。


「・・・・・・・・・」

ポパイが恨めしげに
あたしを見つめているのが分かる。


無視無視


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