シロップ×シロップ  【完結】
「御前(ゴゼン)のおおせのままに・・・。」
内閣総理大臣、田部は広い和室の中央に正座し、深々と頭を畳に押しつけていた


障子の向こうの、中庭にある池を、鯉が飛び跳ねる音が聞こえる

それくらい室内は静寂に包まれていた

広い敷地の中にある、この巨大な日本家屋では、公道を走る車の音さえ届かない

逆に、庭にある木々のせせらぎが耳に心地よいくらいだ

だが、正座する総理、日銀総裁、内閣官房長官の3人は、そんな日本独特の風情を楽しんでいる様には見えかった

逆に、極度の緊張と戦っているのが、ひたいに浮かぶ汗でわかる
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