シロップ×シロップ  【完結】
そのお墓の前には、かすみ草が飾られていた

「・・・久しぶり」
ナツメは、自分が持ってきた花束を墓前に添えた
「目立つ様に、一番高い花を買ってきたよ」
手を合わせる

身じろぎもせず、ジッと祈りを捧げた

「・・・・・・ナツメくん?」
声をかけられ、閉じていた瞼を開く

「やっぱりナツメくんね」

石畳の向こうに、一人の老婦人が立っていた

「・・・ただいま。園長先生」
ナツメが老婦人を見つめ、懐かしそうな表情になる

「おかえりなさい」
老婦人は優しい笑顔で答えた
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