シロップ×シロップ  【完結】
墓前に、日だまりの家の花壇で摘んだ、かすみ草を静かに添える

(先生・・・俺、先生がくれたお守り、大切に持ってるよ)
ナツメは、ポケットから取り出したお守りを見つめた


― 有紀子先生が、このお守りをくれた日の夜・・・火事が起きた


(真っ赤な炎の中、一人逃げ遅れた俺を、自分の命と引き替えに助けてくれたね・・・)

線香をあげる
「来年は彼女と一緒に来るよ。気になる子がいてね・・・」
手を合わせながら呟く
「先生に一番最初に報告する・・・その子、俺を女だと思ってるんだよね」


― ナツメは、天国で有紀子先生が笑った様な気がした
< 287 / 1,191 >

この作品をシェア

pagetop