シロップ×シロップ 【完結】

「この国の要人よ。どこでもドアがない今、あたしらは逃げ出すので精一杯って事」
咲子の言葉に、ハッとする奈美
（そ、そうだ･･･）

―　完全に意識してなかった

“今、テロを止められるのは、自分達しかいない”

ガーン。といった顔で、立ち尽くす奈美

「さぁさ、立ちましょうね」
咲子がリオをうながす

２人が階段を上がり始めても、奈美は突っ立ったままだ

「ちょっと、どうしたのよ？」
咲子が振り返る

（･･････どうしよう）
奈美はうつむきながら、必死で考えていた
（他の人が死ぬのを、黙って見過ごすなんて出来ない）