カーテンの中で
彼は、端のほうでまとめてあったカーテンを掴むと、シャッと自分と私をくるんだ。

二人きりの教室、二人きりのカーテンの中で、彼が、私のほっぺたに触る。

見上げる彼の目は、茶色で……暮れ始めた光の中、髪も少しだけ、茶色に見えた。

大きな手が、するりと私のほっぺたから首を撫でていく。

「したいなら、言って。そしたら、しようよ」

「ぃ、言ってって……なにを」

「だから――」

戸惑う私の顔の横、窓に手をついた彼が、ぐ……っと顔を寄せ、耳元、息をかけるみたいに言う。
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