昼の月
昼の月
ぼんやりと目を開く。
喉が乾いて、張り付いている。眉をちょっとしかめて、つばを飲み込んだ。
枕元の時計は9時半を指している。寝過ぎてしまったようだ。
ベッドから出て、キッチンの小さな冷蔵庫からオレンジジュースを取り出す。冷たいそれが喉を通り抜けて、完全に目が覚めた。
細く開いた窓から、風が流れこんできて、カーテンをふわりと揺らした。
パジャマのまま朝ごはんの用意をする。
私の朝ごはんは非常に簡素なもので、用意と言っても、シリアルにミルクを注いで、りんごの皮を剥くくらいだ。
熱いコーヒーを沸かしている間に顔を洗う。
タオルに顔を埋めると、ほのかに鼻をくすぐる石けんの香りがした。
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