永遠(とわ)に果てぬ愛
contract.1☆始まりのトキ
*和奏side
それは、高校3年生になって間もない頃だった。
その日は、父親と私と弟の拓海と3人で母親のお見舞いに来ていた。
元々、母親は体が弱く、入退院を繰り返していた。
それを、懸命に支えていたのは父親だった。
ある事情から、親戚には頼れなかったから。
そんな父親を見ながら、私も拓海も出来る限りのことは手伝っていた。
「ちょっと、トイレに行ってくるな」
そう言って、お父さんは立ち上がった……はずだった。
「お父さんっ!?」
立ち上がった瞬間に、崩れるように倒れ込んだ。
貧血のようにも見えるけど、反応がなかった。
すぐに先生を呼んで、お父さんは別室に運ばれて行った。
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