永遠(とわ)に果てぬ愛
昔はよく出入りしていたけど、今じゃ入りにくそうにしている。
そのうち、出入り禁止になる立場だってのに。
「怜央さん、あの人って宝来の娘ですよね?」
オレらのやり取りを見ていた社員の1人が言う。
それに、こくりと頷く。
「まだここにいたんですか?怜央さんの婚約者は、和奏さんなのに」
正式には、婚約者はアレのままだ。
だけど、会社の人間は破棄することを薄々気づいているだろう。
それでも、和奏の存在はまだ知らない。
この人は、ある理由のため本当のことを知っていた。
「大丈夫ですよ。聡さんたちの協力もあって、もう少しで公に出来るんですから」
彼に向かって、にっこり笑って言う。