永遠(とわ)に果てぬ愛
仕方がない。
怜央に勝てる訳もないし、怜央を裏切ることも出来ない。
俺はもう、どうすることも出来ないんだ。
「あ、越智くんっ。ありがとう」
そう言われた時には、手を繋いで2人が屋上を出るところだった。
「こっちこそありがとう。水城のこと、好きだったよ……」
水城の耳に届いていないのは分かっていた。
だけど、言いたかった。
もう、2度と口にすることはない想いを。
怜央の驚いた顔を見て、悪いことをしたと思った。
大丈夫、もう言うことはないから。
バタンと閉まったドアの音が、やけに耳に響いた。
そして、一筋の涙が流れた。
心の中はからっぽ。
それでも、これで良かったと思える。
怜央に任せておけば、水城は幸せになれる。
俺は、それを願うだけだから。
熱いはずのこの風も、今は冷たく感じた……。