永遠(とわ)に果てぬ愛



家の前に、なぜかあの女がいる。

それの声に、和奏はビクリと震えた。

そして、そっと掴んでいた手を離された。

とたんに、寂しさを感じた。

けれど、繋ぎ直すことは叶わなかった。

和奏は、腕を組むようにしてオレから目をそらしていたから。



「もう、どこに行ったかと思ったじゃない。会社にいないんだもん」



コイツ、また会社まで行ったのか。

それで、SPと言い合ったのだろうか。

コイツがまだ普通にしているっていうことは、まだ堕ちていないのか。



「私、先に中入っています。ごゆっくりどうぞ」



オレと目も合わせずに和奏はそう言って、家の中に入っていった。

その声は、微かに震えていた気がした。



「ねぇ、何であの子と一緒にいたの?」




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