永遠(とわ)に果てぬ愛
「君、もしかして……智さんと咲希子さんの娘さんですか?」
物腰の柔らかそうなフロントの人が、宿泊カードに書いた私の名前を見て言う。
「そうですけど、両親を知っているんですか?」
あきらかに両親より若い。
働いていた期間が被っているようには思えない。
「正直お逢いしたことがありませんが、噂は聞いております。ここで出逢った素敵なご夫婦だと。
あ、少々お待ち下さい」
何かを思い出したように言ったあと、奥に入ってしまった。
だけど、すぐに出てきた。
年配の人を連れて。
「和奏さんですか?大きくなられましたね」
年配の人は、私を見るなり懐かしそうに言う。
「私を知っているんですか?」
「まだ小さい頃に、ここへ来ておられましたから。弟さんがお生まれになるまでは、よく来られていましたよ」