永遠(とわ)に果てぬ愛



私の記憶にはないことだった。

確かに、小さい頃はよく両親と一緒にいた。

共働きだったはずなのに、一緒にいることが多かった。

それは、ここに一緒に来ていたからなんだ。



「預けられる場所もなくて、ここに連れてこられました。それで、私たち従業員も一緒になって育てていたんです。時にはフロントに座って、皆様の癒しの存在でした」



久々に、両親のい思い出を知ることが出来た。

最近は、両親を知る人とは逢えていない。

誰と知り合いなのかも、よく分かっていない。



「ご両親がお亡くなりになったと聞きましたが……」



年配の人の表情が曇る。

両親のその後を知っていたんだ。



「はい。それで、居場所がなくなりました。当分の間、ここへ泊めて下さい」


「そうでしたか。それなら、お好きなだけお泊り下さい。お代もお気になさらず」



その言葉に驚いて、首を振る。




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