永遠(とわ)に果てぬ愛



「私、前にこんなこと言った?」


「……オレんちに来てから、何度も似たようなこと言っているけど」


「違うっ。もっと前……本当に小さい頃に」



私だって確信はない。

いつのものかも分からないし、誰と一緒なのかも分からない。

どこなのかも分からない。

私の記憶にはなかったもののはずなのに、その瞬間だけ鮮明に見えた。


よく分からない私の言葉にため息を一つ吐いた怜央は、そっと私の両手を握った。

それにビクッと体が反応して、体中が熱くなってきた。



「少しずつ記憶が戻ってきているのかもしれない」


「記憶が戻る?」



よく意味が分からない。

記憶が戻るってことは、失っている部分があるということ。

だけど、そんな訳はない。

私の記憶は正常だ。

何も忘れていることはないはず。




< 415 / 620 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop