永遠(とわ)に果てぬ愛
その時の状況を話す莉奈の手は震えていた。
今の私は、それを言われても思い出せないでいる。
「横断歩道で、それも青だったから渡っていた訳で、多くの人が巻き込まれた。中には亡くなった人だっている。
……幸い、アタシは軽傷ですんだ。
だけど、和奏は……っ」
そうそう、莉奈の目から涙が流れた。
「あれは、地獄のようだった。辺り一面、真っ赤に染まっていた。
5歳の頭の中を壊すには十分だった。
今でも夢に見るあの光景。和奏が死んだらどうしようって恐怖。
実際、和奏は危険な状態だったから」
「えっ……そうなの?」
知らないうちに、私の声まで震えていた。
「和奏が助かったのは、奇跡だった。後遺症もないなんて。
本当に、それだけ危なかったんだ」