永遠(とわ)に果てぬ愛
包帯グルグルで体中が痛かったけど、まさかそこまでとは思わなかった。
「アタシもお母さんも、おばさんたちにはバカみたいに謝った。生きているからと、笑って許してくれたけど……。
だけど、驚いた。起きた和奏は、天羽のことも直輝のことも忘れていたから」
「怜央だけじゃなくて、八塚くんも?」
「そう。それだけじゃない。むしろ覚えていたのは、自分の家族とアタシだけだった。
あれだけの事故だ。仕方のないことかもしれない」
自己防衛って言うのかな。
まさか、そこまで忘れているとは思わなかった。
「でも、よく莉奈だけでも覚えていたね」
「たぶん、毎日の様に一緒にいたからだと思う。姉妹感覚だったんじゃないかな。以前は隣に住んでいたし。
だけど、無理に思い出すようにはしなかった。事故状況を思い出したら、和奏がどんな状態になるか分からないから。
だから、誰も知らない場所へ引っ越したんだ」