永遠(とわ)に果てぬ愛
「佐々木さんっ。すぐ行きます」
時計を見ると、約束の10分前だった。
急いでパソコンの電源を落として、出かける準備をする。
「和奏ちゃん。夜、あけといてね」
忙しく準備をする私に、最後の最後までアプローチする林さん。
諦めろよと呆れてしまう。
「そんな暇ありませんので、失礼します。
行ってきますっ」
一応丁寧に断りを入れ、部署を出た。
「和奏さん、相変わらずですねぇ」
2人きりになると、佐々木さんは下の名前で呼ぶ。
その瞬間だけ、叔父と姪になる。
「助かりました。いつもすみません」
佐々木さんが来る時、必ずと言っていいほど林さんにちょっかいをかけられている。
だから、佐々木さんも今の状況を知っていた。
それでも、佐々木さんだって何も言えないのだけど。
「これって、怜央さんも知っていることですよね?」
「部署は違いますけど、有名ですからね。怜央も知っています」
私が言う前に、怜央は知っていた。
それも、林さんが男性社員に、私に手を出すなと触れ回っていたらしい。
私に告白なんてする前の話しだ。