永遠(とわ)に果てぬ愛
携帯を見ながらそう思った私は、早々にトイレから出た。
だけど、帰れなかった。
トイレの前で、林さんが待ちかまえていたのだ。
「何をしているんですか?」
私を通らせないようにしているのが分かったけど、一応聞いてみる。
「ねぇ、2人で抜けない?」
私の耳元でそんなことを言ってきた。
だいたいの人は、コレで堕ちるのだろうか。
相手がいる私には、通用しないけど。
「抜ける意味がありません」
いつも通り冷めたように言って、林さんの横を通ろうとする。
だけど、思いっきり腕を掴まれてその場から動けなくなってしまう。
「ちょっと、離して下さいっ」
腕をぶんぶん振りながら言うけど、林さんの手は離れるどころか強く掴まれる。
しかも、痛いぐらいに強い。
「い、痛いですっ」
「いつもみたいに逃げれると思うんじゃねぇーぞ」
急に口調が変わった。
どうやら、コレが林さんの本性らしい。
そして、私は今ヤバイ立場だ。
トイレの前で、人目につきにくい。
赤の他人から見れば、カップルの喧嘩にしか見えないだろう。
誰も助けてくれる人がいない。