永遠(とわ)に果てぬ愛
「え?父さんが見過ごす訳がないと思いますが」
『それが、社長まで話しがいっていないんです。
不祥事だからか、部署内で消化されたみたいです』
「それで、表に出ていないんですね……」
ずいぶん大きなことなのに誰も知らないなんて、と思ったけど部署内で留められたらこっちはお手上げだな。
宝来事件の時だって、林彰宏の名前はどこにもなかったし。
だけど、誰も真実を探ろうとしなかったせいで、無実の罪で追い出された人がいるのも事実だ。
そんなこと、本来は許されない。
今回、徹底的に調べて証拠を掴まなくては。
『次のターゲットは、思っていた通り怜央さんです。
何をするか分かりませんが、今まで同様に陥れるはずです』
「まぁ、今の彼にとって、オレが1番の邪魔者ですからね」
『イヤ、1番の邪魔者は林彰宏ですよ』
聡さんもはっきり言う人だ。
つい笑ってしまう。
でも、そういう人じゃないとこの仕事は勤まらないだろう。
『とにかく、私も林彰宏の動向は見ておきます。怜央さんも気を付けて下さい』
「分かりました。ありがとうございます」
そこで電話を切った。