永遠(とわ)に果てぬ愛
それでもまだ、噂はこの部署から外には漏れていないらしい。
こうやって見てくるのは、ここの部署だけだから。
「アイツ今日、無理やりキスしようとした」
「は?」
毎日恒例の、本日の林サンの動きについて和奏が言った。
飲みに行って悠真に助けられたあとは、抱きつくことはあってもそれ以上のことはしてこなかったはずだ。
「今日って、仕事中にか?」
「仕事中。もちろん、隠れてだけど」
「未遂……だよな?」
少し不安に思いながらも聞いた。
「当たり前じゃん。蹴り入れてやった」
わお、豪快だなぁ。
林サンに無理やりされそうになってから、何かと手や足が出るようになったらしい。
力では敵わないから、急所に蹴りを入れたらいいと思ったんだって。
黙ってヤられるよりはいいけど、一応先輩なのにという想いは1mmもないみたい。
「あ、悔しかったのか、最後に捨てゼリフがあったよ。
“ほっといても和奏ちゃんは俺のモノになる。あの男はもう、終わりだから”だって」
「へぇー、終わりねぇ……」
「ねぇ、本当に大丈夫なの?」
不安そうな声に、少し潤んでいる瞳。
そんな表情が愛おしくて、和奏を抱きしめる。