永遠(とわ)に果てぬ愛
その様子を気にも止めず、帳簿を見る。
それで、気づいた。
精算が合っていない。
宝来の時と同じだ。
あの時の関係者だから、どうやればいいのかよく分かっているのだろう。
「やけに落ち着いているな。バレないと思ったのか?」
偉そうに係長が言っている。
あんたらだって、自分で見つけた訳じゃないだろうに。
「何も反応がないってことは、認めるってことだね?会社のお金を横領したと」
この時になって、ようやく課長がはっきりしたことを言った。
「オレが横領したと?証拠があるんですか?」
ある意味純粋すぎて呆れてしまう。
だから、驚きも必要とか言っておいて、全然驚かなかった。
オレの言葉を予想していたのだろうか。
すんなり証拠と思われるものを出してきた。
それは、あきらかに合成されているであろう写真だった。
オレが金庫を開けてお金を取り出している瞬間だ。
そして、二重帳簿。
「これは、君のデスクから出てきたそうだ」
この2人がそれを見た訳じゃないらしい。
それでも、真に受けるのか。
写真が何よりの証拠ということか。