永遠(とわ)に果てぬ愛



その様子を気にも止めず、帳簿を見る。

それで、気づいた。

精算が合っていない。

宝来の時と同じだ。

あの時の関係者だから、どうやればいいのかよく分かっているのだろう。



「やけに落ち着いているな。バレないと思ったのか?」



偉そうに係長が言っている。

あんたらだって、自分で見つけた訳じゃないだろうに。



「何も反応がないってことは、認めるってことだね?会社のお金を横領したと」



この時になって、ようやく課長がはっきりしたことを言った。



「オレが横領したと?証拠があるんですか?」



ある意味純粋すぎて呆れてしまう。

だから、驚きも必要とか言っておいて、全然驚かなかった。


オレの言葉を予想していたのだろうか。

すんなり証拠と思われるものを出してきた。

それは、あきらかに合成されているであろう写真だった。

オレが金庫を開けてお金を取り出している瞬間だ。

そして、二重帳簿。



「これは、君のデスクから出てきたそうだ」



この2人がそれを見た訳じゃないらしい。

それでも、真に受けるのか。

写真が何よりの証拠ということか。




< 586 / 620 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop