永遠(とわ)に果てぬ愛



それにしても横領か。芸がねぇな。

いくら関係者だからと言って、宝来と同じことをしなくてもいいと思うけど。

この時に、味を占めたんだろうな。



「これだけそろっていれば、言い訳は出来ないよな」


「君は、今日付けで辞めてもらうから」



係長と課長が立て続けに言う。

オレは、そんな2人を見てつい笑ってしまう。



「何を笑っているんだ?」



見た目穏やかな課長と違って、普段から目つきが悪い係長がオレを睨みつける。

オレが笑ったことが癪に障ったらしい。



「ああ、失礼しました。
おかしいので、遠慮なく笑わせていただきました」



敬語を使ってはいるが、悪びれた様子は微塵もないオレ。

そんなオレの言葉に、係長の眉がピクリと動く。



「あなた方に、なんの権限があってオレにクビを宣告するんですか?」



この2人、部署内では上の方の立場だけど、トップではない。

トップである人は、オレのことも知っている部長だ。



「もちろん、私たちに権限はない。だから、君には自主退職をしてもらう」



きっぱりとそう言い放つ課長。

こうやって今までも辞めさせてきたのか。

自分の身に覚えがなくても、こうやって証拠を差し出されれば、言い逃れは出来ないのだろう。




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