永遠(とわ)に果てぬ愛
そう言っても、オレが何を言いたいのか分からないようで、首を傾げる。
「証拠提出した相手は、怜央さんを陥れる理由があるってことだよ」
思ってもみないところから声がした。
声がした方を見ると、会議室の入り口にうちの部署の部長が立っていた。
その姿に、課長と係長の顔が青ざめる。
部長には、何も話していなかったのだろう。
「横領された事実を、上に話さず部署内で留めようとするなんていかがなものだろうね」
「え、イヤ、あの……事実を確認後、報告しようと……」
にっこり笑っている部長だけど、口調は酷く冷たい。
それが分かっていて、課長も口ごもってしまっている。
報告するつもりなんてないくせに。
本当は、ここで終わらせたかっただろうに。
「言い訳だけは立派だな。事実確認せず、決めつけていたように見えたけどね」
平然とそんなことを言うけど、部長はいつから見ていたのだろう。
2人はもう、言い返すことも出来なくなっていた。
部長の登場に焦って、部長がオレのことをどう呼んだとか耳に入っていないみたいだな。
「ところで、どうして部長がここにおられるんですか?」
何も話さない2人はほっといて、オレが部長に聞く。